地域おこし協力隊の課題 田口太郎先生の講演〜続き〜

地域おこし協力隊
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こんにちは。私は富山県射水市で地域おこし協力隊をやっています。

前回の記事では地域おこし協力隊研修会に行き田口太郎先生による基調講演を聞いてきたことについての記事をアップしました。

今回の記事ではその続き。地域おこし協力隊の話題の部分についてシェアします。

※田口太郎先生は↓↓の本などの著者

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地域おこし協力隊とは

まずは結論。

地域おこし協力隊とは「都市部から条件不利地域へ移住し、地域協力活動に従事する人」です。

・一人当たり最大520万(人件費最大420万)を特別交付税措置

・「都市部から条件不利地域への移住」が条件

・任期は3年

・2028年度に1万人を目指す

ちなみに令和5年度の地域おこし協力隊の隊員数は、7,200人でした。これは前年度から753人増加し、過去最高の人数です。

取り組んだ自治体数は、1,164自治体で、こちらも過去最高の人数です。

地域おこし協力隊は何をするのか?

●地域おこし協力隊は「地域おこし」に協力する

・各地域における「地域おこし」とは何か?

・「地域おこし」は地域によって異なる

・地域は「起き」なくてはいけないのか?

●公共事業であることの意味

・取り組みや成果に公益性が求められる

・「公益性のある移住」とは何か?

・「公益性のある起業」とは何か?

●外部人材であることの意味

・外部人材だからできることとは何か?

課題

ここからネガティブな項目がしばらく続きます。先に申しておくと、私の場合はありがたいことに行政や地域どちらも関係は良好です。

活動も応募の段階で思い描いたものとおおよそ一致できています。

思い通りにはいかない部分はもちろんありますが、それに関しては自身の能力不足だと思っています。コツコツ努力、継続するしかないと思っています。

それでは以下、一般的に課題とされている項目について取り上げていきます。

●地域や取り組み内容と人材のミスマッチ

・「地域づくり」が出来ると思ったが、生活支援(農業支援など)ばかりやらされる

・地域づくりがしたいのに、施設運営やイベント実施ばかり

・定住を希望しているが、定住に向けた仕事づくりができない

行政との関係づくり

・放置:特に仕事が与えられず、何をしたらいいのか分からない

・束縛:仕事が限定的すぎて、広がらない。自由度が皆無

・行政との関係の悪さ:行政のやり方と協力隊のやり方が合わず、対立関係となる

●地域との関係づくり

・地域との関係づくりがうまくいかない、必要とされない

関係悪化の要因

●行政と協力隊のコミュニケーションの欠如

・民間の常識 / 行政の常識

・都市の常識 / 農山漁村の常識

●協力隊への配慮の欠如

・協力隊に「人格の存在」を認識していない。ただの雇用

●関係悪化後の修復の難しさ

・一度関係がこじれると、その後の修復が困難

・発信力の高い協力隊

・ネガティブイメージの連鎖による地域側の硬化

→→→日常的なコミュニケーションと柔軟な運用により、協力隊のスキルや個性を活かせる対応が必要

導入戦略なき協力隊の多発

●とりあえず「起業」してくれればよい

・公金である協力隊が個人的事業に集中することによる一般住民からの反発

・着任前のイメージどおりにはいかない起業

●「ミッション」の柔軟性がないことによる機動力の低下

・当初想定した「ミッション」の枠から外れられないことで、隊員独自の活動が見出しにくい

・協力隊ならでは、の視点による活動への制限

→→→→→協力隊を「個人」として見ないことで、協力隊自身のオリジナルで自由な活動が制限される

公的施作としての人的支援、制度化の意味

●人的支援の制度化の背景

1990年代〜 民間、自主活動による集落への人的支援

2007年11月 新潟県「地域復興支援員」設置

2008年3月 総務省過疎懇談会提言  〜過疎対策の提言として「集落支援員」の設置が提言される

2008年 集落支援員設置  〜年度末には農水省「田舎で働き隊」設置

2009年 地域おこし協力隊設置

制度、施策としての人的支援の意味とは

・仕組みが出来上がっているため、何も考えずとも始められる

・成功、失敗は「制度の問題」となりがち

→→→→取り組みを通じて、地域に合わせたアレンジをする必要がある

→→→→公金施策であるため自分本位ではいけない

●「人による地域づくり」の特徴

・”事業型支援”から”地域にあった柔軟な”支援としての「人」

・地域住民と支援者が一緒に考えることで、地域の”価値観の転換”を図り、やる気と自身を創り出す

・行政ではできない柔軟な取り組みが実現

・新たなネットワークとの接続により、様々な主体との連携が生まれる

●外の視点から地域の価値を見直す

・地域の内なる目線では分からない価値を、外の目線で再評価し、価値化する

・価値化することで、地域への誇りを取り戻す

地域おこし協力隊に何を期待するか?

●これまで地域にはなかった視点 / 価値観

・協力隊の履歴やスキルと地域のビジョンの融合から来る地域の新たな可能性の模索

・”諦め感”が広がる地域で、密着型のコミュニケーションをはかることによる自信と誇りの醸成

・小さな成功体験を積み重ねることによる主体性の醸成

●これまで地域になかったネットワークとの接続

・今まで持たなかった「田舎を前向きに評価する」価値観を持つネットワークとの接続

●地域を維持していく上での新しい担い手の獲得

・地域で負担と思われがちな「自治の担い手」への肯定的評価

協力隊という施策

●どんぶり施策といえる協力隊

・導入自治体の自由度が極めて高い……..何でもアリになりがち、「制度の問題」になりがち

→→→→→各自治体それぞれが”きちん”と考えて、企画・実施する必要がある

◆ミッション型協力隊の増加

・元々はフリーミッションが大半であったが、放置事例の多発により、”ミッションの明確化”の重要性を謳った経緯

◆”起業型”協力隊の増加

・「移住」が目的化した結果、任期終了後の仕事作りに傾注

住民からの疑問、各種メディアで「オイシイ移住」と謳われる協力隊

→→→→→批評の必要性、心配しつつ苦言を呈す、苦言を呈しつつも最後までフォロー

地域おこし協力隊のミスマッチを防ぐために

●最初から完璧なマッチングは難しい

・募集する側、応募する側、双方が”幅”を持って対応する必要性

●着任後の”調整”が重要

・双方の目的を実現する”落とし所”を見つけた上でのすり合わせ

それぞれの”肝”と”許容範囲”を確認する

地域づくりの根本的目的、行政がイメージした活動が目的達成の唯一解とは限らない

●受け入れ側の”肝”も押さえつつ、協力隊の”やりたいこと”を実現させる

”肝以外の部分”にある”新しい可能性”

・行政として”困ること”は早い段階から整理しておくことが重要

●募集する側と応募する側の”重なり”を拡大させる

・募集側として協力隊が活躍できる舞台を創るには”歩み寄り”が必要

終わりに

研修会ではこのような内容について田口先生による熱いお話が聞けました。

自分は恵まれている環境のおかげで楽しく活動させてもらっています。

もちろん共感できる部分もありますし、周りの状況から課題について理解できる部分も多々あります。

少子高齢化によって日本の田舎はどこもピンチなことは間違いありません。

全国の協力隊の頑張っている姿や尊敬する取り組みもたくさん知っています。

ネガティブな話題が広がりやすい地域おこし協力隊という制度ですが、ポジティブな面もたくさんありますし、自分は日本を救う神制度の一つだと思っています。

私も微力ながらまだまださらに地域づくりに関わっていきたいと思いますし、やりたいことも叶えていきたいと思っています。

とにかく今後も目が離せない制度です。

さらなる盛り上がりに期待。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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