「コードは一つずつなら押さえられるのに、曲になると間に合わない」
「次のコードを探している間に、右手まで止まってしまう」
ギターを始めたばかりの頃、多くの人がぶつかるのがコードチェンジです。
コード譜を見ながら弾いていても、左手の移動に時間がかかり、曲が何度も止まってしまう。自分にはギターが向いていないのではないかと感じる人もいるかもしれません。
しかし、コードチェンジが遅いのは、才能や指の長さが原因とは限りません。
多くの場合は、コードを切り替えるタイミングや、練習の順番をまだ知らないだけです。
ギター講師として初心者の方を見てきた経験から感じるのは、最初からすべての音をきれいに鳴らそうとするほど、演奏が止まりやすくなるということです。
大切なのは、完璧なコードを押さえることよりも、まず曲の流れを止めないこと。
この記事では、コードチェンジが間に合わない初心者に向けて、止まらず弾くための5つのコツを紹介します。
コードチェンジが間に合わない主な原因
初心者のコードチェンジが遅くなる原因は、主に次の4つです。
- 次のコードを考え始めるのが遅い
- 指を弦から大きく離しすぎている
- すべての指を同時に置こうとしている
- きれいな音を出そうとしてリズムが止まっている
特に「すべての指を同時に置こうとしている」これは多くの初心者の方を目にします。
最初のうちは「今鳴らしているコード」だけで頭がいっぱいになりますが、少しずつ「次に押さえるコード」まで意識できるようになると、コードチェンジはかなり楽になります。
コードチェンジを速くする5つのコツ
1.曲全体ではなく、2つのコードだけを繰り返す
コードチェンジの練習では、最初から曲を最後まで弾こうとしないことが大切です。
たとえば、曲の中でCからGへの移動が間に合わないなら、練習するのはCとGだけで構いません。
- Cを押さえる
- Gへ移動する
- 再びCへ戻る
- これをゆっくり繰り返す
最初は右手で弦を弾かず、左手だけでコードを切り替えても大丈夫です。
「1、2、3、4」と声に出し、4拍ごとにコードを変えてみましょう。
慣れてきたら、4拍から2拍、2拍から1拍へと、少しずつ切り替える間隔を短くしていきます。
曲を何度も最初からやり直すよりも、苦手な2つのコードだけを1分間繰り返す方が、コードチェンジの上達には効果的です。
2.指を必要以上に弦から離さない
コードを移動するとき、左手を大きく開いてしまっていないでしょうか。
指を弦から大きく離すほど、次のコードまでの移動距離が長くなります。その結果、指を置く場所を見失いやすくなります。
コードを切り替えるときは、弦を押さえる力を抜き、指先を少し浮かせる程度で移動する意識を持ってみてください。
また、前後のコードで同じ場所を押さえる指がある場合は、その指を残したまま移動できることがあります。
たとえば、AmからCへのコードチェンジでは、一般的な押さえ方なら人差し指と中指を残したまま、薬指だけを移動できます。
このように、動かさなくてもよい指を見つけると、コードチェンジはかなり速くなります。
すべての指を一度弦から離して、毎回ゼロからコードを作り直す必要はありません。
3.小節の最後で次のコードへ動き始める
コードチェンジが間に合わない人は、次の小節の1拍目になってから左手を動かし始めていることがあります。
しかし、それでは次のコードを押さえる時間がほとんどありません。
そこで、今弾いている小節の最後から、少しずつ次のコードへ動き始めます。
8ビートで「1と2と3と4と」と数えている場合は、最後の「4と」の部分で左手の力を抜き、次のコードへ移動してみましょう。
練習中は、最後の1回だけ開放弦が鳴っても問題ありません。
一瞬だけ音が不完全になっても、次の小節の1拍目にコードが間に合えば、演奏全体は自然に聞こえます。
初心者のうちは、
「すべての音を完璧に鳴らしてから移動する」
よりも、
「少し早めに移動して、次の1拍目に間に合わせる」
ことを優先してみてください。
4.右手のストロークを簡単にする
コードチェンジに集中しながら、複雑なストロークも同時に弾くのは簡単ではありません。
左手が間に合わないときは、いったん右手の動きを簡単にしましょう。
最初は、1小節につき1回だけダウンストロークします。
それができたら、次のように少しずつ回数を増やします。
- 1小節に1回だけ弾く
- 1拍に1回、ダウンストロークする
- 8ビートのストロークに挑戦する
- 実際の曲のリズムで弾く
いきなり原曲どおりのリズムで練習する必要はありません。
まずは簡単なストロークで、左手が止まらずコードを切り替えられる状態を作ります。
コードチェンジに慣れてから右手のリズムを戻した方が、結果的には早く曲を弾けるようになります。
また、多少コードが遅れても、右手の動きまで完全に止めないことが大切です。
ギターの演奏では、一つひとつの音の正確さ以上に、一定のリズムが続いていることが重要です。
5.弾ける速さまでテンポを落とす
原曲に合わせるとコードチェンジが間に合わない場合は、単純にテンポが速すぎる可能性があります。
最初は、原曲の半分から75%程度の速さで練習してみましょう。
YouTubeの再生速度を0.75倍にしたり、スマートフォンの無料メトロノームを使ったりする方法でも十分です。
メトロノームを使う場合は、テンポ60前後から始めてみてください。
同じコード進行を5回ほど止まらず弾けたら、テンポを5ずつ上げていきます。
途中で止まるようになったら、もう一度テンポを下げます。
テンポを下げることは、下手な人のための練習ではありません。
自分が正しく弾ける速さを見つけ、その動きを体に覚えさせるための練習です。
速いテンポで何度も失敗するよりも、ゆっくりしたテンポで成功を繰り返す方が、正しいコードチェンジを身につけやすくなります。
1日10分でできるコードチェンジ練習
何を練習すればよいか迷ったら、次の10分メニューを試してみてください。
1分目:コードの形を確認する
今日練習する2つのコードを、一つずつゆっくり押さえます。
すべての弦が完璧に鳴らなくても構いません。まずは指を置く位置を確認します。
2〜4分目:左手だけでコードチェンジする
右手では弦を弾かず、2つのコードを交互に押さえます。
指を必要以上に高く上げていないか、残せる指がないかを確認しましょう。
5〜7分目:1小節に1回だけ弾く
メトロノームをテンポ60程度に設定し、4拍ごとにコードを切り替えます。
次の小節が始まる少し前から、左手を動かす意識を持ちます。
8〜9分目:1拍ずつダウンストロークする
「1、2、3、4」と数えながら、1拍に1回ずつ弾きます。
音が少し濁っても止まらず、一定のテンポを優先してください。
10分目:曲に合わせて弾く
最後に、練習している曲に合わせて弾いてみます。
原曲が速い場合は、再生速度を落として構いません。どのコードチェンジで止まりそうになったかを確認し、翌日はその部分を中心に練習します。
毎日長時間練習できなくても、この10分を繰り返せば少しずつ指の動きが安定していきます。
音が少し汚くても、まずは止まらず弾いてみよう
初心者のうちは、コードチェンジのたびに音が途切れたり、一部の弦がきれいに鳴らなかったりします。
それ自体は失敗ではありません。
一つのコードを完璧に鳴らそうとして曲が止まるよりも、多少音が不完全でも最後まで弾き続ける方が、曲らしい演奏になります。
まず目指したいのは、次の3つです。
- 右手のリズムを止めない
- 次のコードを早めに考える
- 完璧な音より曲の流れを優先する
コードチェンジは、知識だけで急に速くなるものではありません。
しかし、苦手な2コードに絞り、弾けるテンポで繰り返していけば、指は少しずつ動きを覚えていきます。
昨日より少し早く動けた、1回だけ止まらず弾けた。それで十分です。
最初から完璧な演奏を目指さず、まずは好きな曲をゆっくり最後まで弾いてみてください。
まとめ|コードチェンジは「速く動く」より「早く準備する」
コードチェンジが間に合わないときは、次の5つを意識してみましょう。
- 苦手な2つのコードだけを繰り返す
- 指を必要以上に弦から離さない
- 小節の最後から次のコードへ動き始める
- 右手のストロークを簡単にする
- 止まらず弾けるテンポまで速度を落とす
コードチェンジは、指を無理に速く動かすだけでは上達しません。
次のコードを早めに考え、できるだけ短い距離で指を動かし、リズムを止めずに練習することが大切です。
焦らず、まずは1日10分から続けてみましょう。




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